瓦の産地へ

北海道で設計をしていると瓦屋根を採用することはまずありません。
今回設計している明日香村は1400年も昔に日本で最初に瓦が使われた場所。
仏教伝来とともに入ってきた瓦の技術ですが、当時はお寺の造営のそばに瓦を焼く工場も建てられました。

 

瓦は現在、3大産地として有名な三洲瓦、石州瓦、淡路瓦がありますが、
関空から奈良に通っていると、いにしえの人々が瀬戸内から大和川を遡って明日香へ辿っていたことが容易に想像され、
そのときに同時に見ていたであろう淡路島から今回瓦を採用することにしました。

 

古くから良質な粘土の採れる淡路島。
阪神大震災の影響もあって、今では瓦を採用する家は少なくなり、300社あった工場も今では90社になってしまったそうです。
その中の野水瓦産業さんにお邪魔して工場見学をさせていただきました。

この写真を見ると、瓦が粘土から作られるのがよくわかります。
桟瓦は長〜い金太郎飴状のものを作って、裁断していきます。

一方、軒瓦や鬼瓦などは一枚、一枚型に嵌めてつくられます。
家紋などが特注の場合はその都度型から起こすそうです。
こうした工場に必ず登場する地元のおばちゃん。
何気なく作業しているように見えますが、手際がよく凄技の持ち主です。

出来上がった瓦を乾かせて、

焼きます。
あの独特ないぶし瓦の風合いは、このときいぶされて出来るのです。

 

数百年ともつ瓦は重く、高いと、数十年単位の目先の家づくりには敬遠されてしまいますが、
耐久性や夏の涼しさを作る上で、これからの時代見直されるときが来ると思います。