先日、こんなやりとりがあった。
庭の手入れをしている枝切り鋏のキレが悪くなったので、 新潟にある製造元にメンテナンスの電話をかけたときのこと。
私:「あのう、草刈りのときに柔らかい草が切れにくくなったのですが・・」 業者:「枝切り鋏だからね。草を切りたいのならもっと刃を薄く研がないとだめだよ。」 私:「自分で研ごうと思ったのですが、鋏は難しくて・・」 業者:「合わせモノだからね。こちらでバラして気持ち薄く研いであげますよ。」 なんだろう。この電話を掛け終えた後の信頼感と安心感。 何か久しぶりにわかり合えるひとと対話した気がした。
鋏のことをきちんとわかっているひとと、 こちらが望んでいることがわかってもらえる対話。 何気ないんだけど、その場でこういう対話ができる機会が最近めっきり減った。
鋏は往復の送料を考えると、実は新品を買った方が500円ほど安い。 でも、自分だけの仕様を500円の差で作ってもらえるのだ。 そして、何よりその商品を誇りを持って作っているひとが思い浮かぶ。 長く大切に使おうと。
先日、「界川の家」を住み継いだお施主さんから、 既製品ではなく、この家に合うキャスター付き家具が欲しいと依頼があった。 すべてを言わずとも、きちんと意味を理解し、 要望を叶えてもらえる嬉しさと満足感は何事にも変え難い。
家づくりとはこうありたいものです。
NEXT
PREV
Blog