アトリエモノゴトの家づくりでは、設計者はアイディアを練る・図面を描く・省エネ計算・構造計算をする・見積り・法規チェックをする・施工検討・現場監理をする以外に大切な仕事があります。それは、図面を描いた当人が模型を作ることです。 これは、もちろんお施主さんにこれから建てる家を確認いただく意味合いもありますが、もうひとつ、図面を描いた設計者が、どこか設計に誤りや矛盾がないか最終確認するためでもあります。 昨今、図面からCGを立ち上げるのは比較的容易になりましたが、CGは実態がない架空の世界でいくらでも印象操作が可能で、できあがりが妙にリアルなために、想像の入り込む余地がなく、かえって「その通りになる」と誤解を生む危険があります。 模型は、重力に抗って手に取れる材料を使って作るため、どうこの家を建てるかを考えながらでないと作れません。手順を考えながら相応の時間をかけて作るので、納まりや仕上がりを設計者が今一度確認することができるのです。 そのため、設計者がこの家を実際につくる大工さんに先んじて、間違いやすいところや、難しいところを把握し、工事を滞りなく進めることができます。 模型にはCGのようなリアルさはありませんが、本当の光が射し込み、雰囲気はCGよりも伝わります。それは、できあがる家を想像で補う余白が残されているからで、実際に家ができあがったときの感動も大きいです。 文字だけの文学作品の方が、映像よりも想像する豊かさがあるのと似ていますね。
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