北海道の住まいは永らく南西向きがよいとされてきました。未だに不動産なんかは南西向きの方がいいとされているかもしれません。
最近ようやくこの日本人の南向き信仰が、いかに日本人が断熱のない住まいで暮らして来たかの証左であることに気づきました。

外とほぼ同じ環境である日本家屋で冬暮らすには日照だけが頼りです。できるだけふんだんに陽を採り入れて、あとは細々とした暖をとって寒さを凌いで来ました。
一方、高断熱な住まいにとっては必ずしも南西向きの光が有効であるとは限りません。

もちろん冬に暖かい陽をいっぱいに入れたいという染み付いた感覚や、実際の効果もありますが、高断熱の住まいで日除けや風通しも考慮せずに夏にこれを室内に入れてしまうと、室内に熱を溜め込んでしまって逃げにくいのです。

昔からの日本家屋は寒くても薄着、高断熱の住まいは夏でも厚着。
北海道の住まいは冬いかに少ないエネルギーで快適に過ごすかを考え、後者を目指して来たのです。

他方、開け放つことで夏を凌いできた本州の住まいももはやそれだけでは暮らせないほど。家を厚着にしておけばエアコンも効率よく効かすことができるのです。