認定低炭素住宅
札幌
アトリエ兼住宅
見えない居心地
敷地裏には手付かずの森が迫り、建物は季節風と隣の団地から視線に晒される環境にあった。 リビングやダイニングでの活動は家の中で比較的静穏で外的影響を受けやすいため、そのまわりに動線や吹抜けを纏わせ、周囲の環境から距離を置いた。 季節風と視線を遮る外部階段は家へのエントランスアプローチであり、目透し張りの外壁によって外からの視線や季節風を遮り、冬はそれだけでも暖かく感じる。 この家は中心に徐々に近づくに連れ、より安定した環境へと至り、守られた環境の内から外部との接点を慎重に選び直している。 外皮の物的性能のみに頼りがちな北国の家に「奥行き」をもたらす試みである。
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自然豊かな閑静な住宅街に建つアトリエ兼住宅。 道産のカラマツと札幌軟石の外観は、新築でありながらすでに背景に馴染んでいる。建物は土砂災害特別警戒区域に掛かり、1階のアトリエは土砂を受ける3m の擁壁が必然であったため、吹抜けた上部からの光と杉板の打放し型枠によってその存在を意匠的に際立たせている。 2、3階の住空間は周囲からの視線と季節風を遮るため、半屋外的な階段アプローチとアトリエの吹抜けによって包まれ、これらは住戸内のプライバシーを守りつつ、家のあちこちから外へと重層的に繋がっている。そしてさらに3階へ至る階段に取り囲まれたリビングダイニングは、この家の中心であると共に熱的な負荷が最も少ない環境に位置している。3階にはプライベート空間とアトリエの吹抜けを介して裏山へと視線が抜ける書斎があり、四季の変化を楽しめる。和の愛着が深いクライアントのために一間床のシンプルな和室をしつらえた。