北海道
ゲストハウス、寄宿舎
見えない居心地
富良野市郊外に建つ農業生産法人の寄宿舎である「FRNF」は、 近くの沢を流れる水を農作物の栽培に利用していた。 この水圧が高いことを利用して屋根上に散水することにより、夏、気温が高く湿度の低い北海道内陸の気候特性を利用して蒸散による冷却効果を狙った。建物は降水や雪融け水を効率よく分散して土地に還すために、指を組んだような形態となった。
この地域では生活用水もこの沢の水を利用しており、水は地下ピットの濾過システムを経由し、排水は浄化槽を経由して再び自然に還る。 上下水道のない地域での新しい試みであったが、水がどこから来て、どこに還るのか見ることのない都市生活に較べ、自己完結したシステムは非常に明快で心地よささえ感じた。
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富良野市郊外に建つ企業の寄宿舎兼ゲストハウス。 農業に従事するひとの生活環境と都会の消費者をつなぐ接点としてこの建物は計画された。一階は主に都会から訪れたひとを迎え入れるための接客空間として、二階は従業員の寝泊まりするプライベートな個室となっている。 夏と冬の気温差は60℃にもなる日本屈指の厳しい気候の中、生活は近くの沢から引込まれる水を濾過することによって成り立っている。急峻な地形を流れ落ちる沢の水は、動力がなくとも屋根上まで吹き上がる。 これを利用して屋根面に散水するシステムを導入し、湿度の低い北海道内陸の気候で夏は蒸散による気化熱で建物全体を冷やす試みをした。指を組んだような建物の形態は、住まう人々の個の単位を表すと共に、屋根面の雪と雨水を効率よく分散させて地面に落とすために生まれた。