見えない居心地

アトリエ改修

札幌

アトリエモノゴトは平成元年に建てられたマンションの一角にあります。
当時のマンションは分譲でさえ断熱や省エネという考えから程遠く、光熱費のことが語られることはありませんでした。
そこでアトリエを自主改修しながら、住み心地や光熱費の変化を実験しています。
まずこの建物で圧倒的に熱損失の大きい壁と開口部の補修をするため、既存の樹脂製内窓を撤去して新たに木製建具 ( ガラスは再利用 ) を嵌め込み、既存の 25mm 断熱の上に納まり上許す範囲で 20mm の吹付断熱を施しました。 さらに地下が駐車場で冬寒く、暖房器具も温風式から床暖へと改修し住み心地はかなり改善しました。

付加断熱によってゆとりの生まれた2重サッシの隙間には木製ブラインドを取付け、 内側で邪魔になっていたカーテンはなくしました。
外側からアルミサッシ ( シングルガラス )・ブラインド・木製建具 ( ペアガラス ) という構成は、 フィンランドにいるときによく見た、ビルなどで用いられるダブルスキンとよく似た性質があります。 それは季節に応じて3つの構成を開け閉めすることで、冬は熱逃げを防止し、夏は効率よく遮熱することです。

単に物的性能やエアコンなどで機械的に熱や光を制御するのではなく、人間の行動によって今一度できることから始めると、今まで気づけなかった季節の変化や生活の知恵といったものが見つけられるような気がします。

 

実証 (協力札幌市立大学斉藤研究室)
写真は 2011 年 8 月 8 日の午後3時頃。 左は改修前の組合せで、右は改修後の組合せ。 実験のために同じ方位の同じ窓2つの内、 ひとつだけを改修して検証した。 外に設置した温度計は 30.3°C、 既存窓内側の室温は 31.7°C、ガラスの表面温度は 42°C前後まで上昇しているが、改修側の室温は 30.7°C、ガラスの表面温度は 38°C程度で抑えられている。 両者の違いは間にブラインドによる日射遮蔽があるか ないかだけである。