思い返すと、本州の家の中はどこまでも「外」であった。
昔の日本家屋はもちろん、私の生まれ育った頃でさえ、クーラーなんてほとんどの家にはなく、夏になるとどの家も窓や玄関は開け放しであった。 隣近所の家の中の会話もよく聞こえ、風鈴や打ち水で暑さを凌げた。 当然、蚊や蠅も入りたい放題で、そういった意味でも家の中は「外」であり、そこに蚊帳を張ってかろうじて「室内」を作って寝ていた。ほんの数十年前の話しである。 冬にはそこに炬燵などを室礼えてやはり部分的に「室内」を拵えて寒さを凌いだ。 ここで言う「室内」とは、人間が心地よく居られる内部環境ということ。 北海道で暮らしているうちに、家の中=内部環境という図式がいつの間にか当たり前になってしまった。 この辺りの空間認識の差が、よく言う北海道の住まいは北海道の建築家に任せた方がよいという話しに繋がるのだと思う。
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