見えない居心地

篠路の家

札幌

家は建てる地域、方位などが個々に異なるため、一軒ごとに熱負荷の計算をして建物の性能を把握するのも大切な設計作業。
熱負荷自体はどこにも見えないものであるが、この見えない部分を知ることで過不足のない暖房計画が可能になり、最終的に居心地にも作用する。

 

実際に計算しているから気付けることもある。
当たり前のことではあるが、建物の断熱性をどんなによくしても外が寒ければ建物からは熱が逃げる。
純粋に壁や窓といったところから、換気や外気の対流といったものでも家からは熱が奪われる。

 

このおうちでは、積雪と夏の日除けのために駐車場と縁側を南北に伸ばした軒先下部に納めている。
北海道のように夏と冬の太陽高度の差が大きい地域では、こうした張り出した軒が夏は影を生み、冬は室内に積極的に日射を採り入れることを可能にする。
と同時にこの形態は、衣服のスカートの中に熱だまりができるように、冬は一度外壁から放出された熱をその下に滞留させ、季節風の対流による熱負荷の軽減にも一役買っている。
庇による落雪の影響は工事前一冬原寸大のモックアップにて検証を行った。