外の部屋

寒冷地の住宅は、冬季の省エネルギー性と室内環境を優先すると、どうしても外の環境に対して閉じがちです。それは住宅の性能としては、高断熱・高気密住宅として評価されています。
一方、北国の冬を経験したことのあるひとにとって、冬以外の季節はかけがえのないものです。誰しも春を待ちわび、戸建住宅ではなおのこと、太陽のもとで活動できる季節を待ち望んでいます。
そして、外の環境に対して直接、家の中と外をつなぐことを制限される高断熱・高気密住宅においては、それらをつなぐ何かしらの空間があることが望ましいと考えます。
北海道の戸建住宅においては、一時期「サンルーム」や「風除室」といった外と中をつなぐ空間がありました。断熱の外側にあるこうした「外の部屋」は、冬と夏で生活様式ががらっと変わる寒冷地では、室内ではできない作業や物干し・除雪用具などの保管に重宝してきました。しかしながら、こうした断熱のない「外の部屋」は、外の環境の影響を直接受け、夏暑く冬寒くなるため、戸外の生活を愉しめる空間ではありませんでした。
弊社では、従来の「外の部屋」の問題点を解決する手法として、高断熱・高気密住宅に内包した凹型の「外の部屋」を提案しています。高断熱の外皮に内包された「外の部屋」は、戸外と直接つながる空間でありながら、外皮に間接的に守られることによって、「うち」という領域を作り出します。その結果、夏は直射を遮れば外ほど暑くならず、冬は無暖房でも0℃を下回らない環境を作り出すことが可能です。そのため、BBQや庭いじり、食材・植物の保管など、寒冷地の生活をより豊かに愉しむことができます。
弊社が展開する「北の家」と名付けたシリーズでは、全室暖房によって冬季の豊かな室内環境を実現するとともに、戸外とのつながりのある、北国の豊かなライフスタイルを目指しています。