明日香の家

大学時代の友人から、明日香で家を建ててみないかと相談がありました。
明日香・・・奈良に見識のない人間でも聞いたことのある地名です。

蓋を開けてみると、北海道で設計しているだけでは気付けない、文化や歴史の違いに圧倒されっぱなしで、
市街地にまつわる法律などができるよりも遥か昔から、ひとはこの地に住んでいたのです。

ここで歴史を紐解きながら日本文化について学び直した経験は、かえって北海道を新鮮な眼差しで見返すことにもなりました。

住み始めてから9年、改めて住み心地についてレビュー(外部サイト)をいただきましたので、こちらに紹介いたします。

「アトリエモノゴトを選んだきっかけは、建築家ヨシダオサムの初期のプロジェクト「奥沢の家」のオープンハウスに行ったことで、そこに身を置いた時間は短かったけど、なんだかよくわからない居心地の良さを感じた記憶が残っている。
設計の進め方は、7か月の設計期間を通して、ほぼ毎月奈良の明日香まで出向いてもらって打合せをしていました。当時どんな暮らし方をしていて、新しい家に何を求めているのか、生活イメージの聞き取りからプランを落とし込んでいった。現場は、風致地区で厳しい建築制限はあるものの、歴史が眠る土地の魅力にあふれており、それをいかに建築に生かすのか、試行錯誤の中でのプランニングだったと思う。実施設計段階で、予算との兼ね合いから、妥協できることとできないことを建築家と一緒に考えることができた。振り返ると、漆喰壁や浴室の快適さをあきらめなくて良かった。
工事の進め方ですが、こちらも8か月の工期を通して、建築家が毎月のように現場検査、収まりの確認、瓦や照明器具など重要な素材を淡路島や芦屋のメーカーに確認を兼ねて、関西に足を運んでくれた。工務店任せでない安心感がありました。設計契約の段階で、基本設計のみの発注も考えたが、工事監理まで頼んでよかったです。
実際に住んでみての実感、もうすぐ竣工から10年が経とうとしていますが、本当にいい家ができたなと感じている。設計時から家族構成も変わったが、何とか対応できる自由度があるし、家のどこにいても家族の気配や雰囲気が分かって良い(長男は思春期に突入、、、)。気候変動が激しくなる中、結構快適に暮らせています。漆喰・杉・檜・瓦などの温度・湿度調整機能も聞いているのかもしれない。男の子ふたりなので、壁、床は傷やヨゴレがどうしてもつくけど、経年劣化というより、味が出てきていい具合です。住み手としては、これからも手入れをしながら、この家で暮らしていけたらと思っています。」

関連記事:「美しが丘の家」