軒先と縁側

北海道は、例年という言葉を除けば、9月に入り朝晩ようやく気温が下がるようになりました。
この時期は、家の中より外で風に当たっている方が気持ちがよいことがままあります。

そのときに、庇によって日陰をつくる軒先や、ちょっと出られる縁側があるとよいのですが、昨今の北海道の住宅にこうした空間はほとんど見かけません。
冬の寒さから逃れることを第一に考えた北海道の住宅からは、こうした伝統的日本家屋にみられる軒先や縁側ははるか昔に廃れてしまいました。
昨今の狭小地に建つ都市型住宅も同様です。

「二七の桐の家」は、そうした外部環境を生かした生活をすることを目的として、2mほど軒が出た下をテラスにしました。
これが思いのほか使い勝手がよく、最近は、どしゃぶりの雨音を聞きながら読書したり、日曜大工をしたりして過ごしています。

表現が難しいのですが、この居心地はガラス越しの室内では得られないものであることは確かです。
雨や日射を気にせず風を直接感じ、鳥のさえずりや虫の音と一体となって過ごしていると、自分が生き物であることを思い出させてくれます。

家族でBBQするのもよし、独りで過ごすのもよし。
蚊取り線香もこうした場面で日々活躍します。