外とのつながり

ブルーノ・タウトが1930年代に日本を訪れた際に記した「日本雑記」を読んでいたときのこと。
ある描写に目がとまった。

「同様に建築もまた雪を考慮に入れている。屋根庇が、座敷からの眺めに対して陰暗な空を著しく遮っているのは極めて芸術的である。雨の日のように、雪の降るときも眺めは庭に向けられる。その庭は幾何学的な規矩によって、見る眼をたちまち疲れさせるということが少しもない。」

ふと、今の生活にこのように外を鑑賞する時間と心の余裕がないことに気づいた。
感知しているのは、「今」、「ここ」ではなく、昼間も夜問わず「画面」という名の外ばかり。

まさに心ここにあらず。
これでは心も休まるはずもない。

空間を設計する身として、今いる空間という現実を味わう余裕を持つ必要がある。