本物と偽物

これまで何かと本物にこだわっているつもりでした。やはり本物嗜好で家づくりをされる方に偽物は勧められない、と思っていたのです。
先日ショールームで見た面材。片方は本物で、もう片方は偽物。
最近はメンテナンスのことも考え、表面加工を施すこともあってか、触っても叩いてもほぼ違いがわかりません。
もちろん見分け方もあるのですが、ほとんどの人にとってそれは問題になりません。

 
これまで偽物、偽物と揶揄して来たのは、明らかに本物に対して劣るから。
それが、触っても叩いても違いがないとなると何を基準に本物と言うのか。
どこの海で何を食べて育ったのかわからない天然の魚と、稚魚から飼育された養殖の魚のどちらが本物か。
どこか知らないところの森を伐採し運んでくる天然の木と、同じ品質のものが量産できる印刷の木。
広大な放牧地と温暖化の要因にもなっている牛の命と引き換えに得られるものと、同じ味の人造肉。

 
どれもが、以前眉をひそめて聞いていたようなことですが、
環境破壊をせず、持続的に人間が利用できるということであれば、もはや偽物と本物の価値観を急速に転換しなければならないときが来ているような気がします。

 
そういえば、たい焼きにも養殖物と天然物がありますが、今食べているたい焼きはほとんど養殖です。